未知谷の刊行物【国内文学】



 
現代語訳 帝国主義
幸徳秋水 著 / 遠藤利國 訳
四六判上製160頁 1,800円(税別)
ISBN978-4-89642-299-3 C0010



国とは知と理が働く所
家とは情が棹を差す所
しからば国家とは……
言葉からして曖昧な
この国の国家観――
我々は何を目指すべきか
おのずから見えてくる!
 
〈愛国〉〈富国〉を錦の御旗に掲げ、軍事国家へと
驀進する日本帝国に対し、秋水が提示した一書は
今現在でも「社会の改善」「国の発展」そしてまた
「良好な国際関係」への糸口ともなり得るものだ。
英訳、そして仏訳が刊行されたこの書の現代語訳!
ヒューマニズムのこの思想、未だ古びず刺激的!!
既読者、未読者、若年層へと幅広く、開示する。


目  次

『帝国主義』に序す

例言三則

第一章 緒言
帝国主義は燎原の火なり/何の徳あり何の力ある/国家経営の目的/科学的知識と文明的福利/天使か悪魔か/焦頭爛額の急務
11 
第二章 愛国心を論ず
15 
その一
帝国主義者の喊声/愛国心を経とし、軍国主義を緯とす/愛国心とはいかなるものか
15 
その二
愛国心と惻隠、同情/望郷の心/他郷に対する憎悪/天下の憐れむべき虫けら/虚誇虚栄
16 
その三
古代ローマの愛国心/古代ローマの貧民/何たる痴呆か/古代ギリシアの奴隷/迷信的愛国心/愛憎の両念/好戦的な心情は動物的天性/適者生存の法則/自由競争/動物的天性の挑発
21 
その四
洋人夷狄の憎悪/野心を達するための利器/明治聖代の愛国心/イギリスの愛国心/英仏戦争/いわゆる挙国一致/罪悪の最高潮/戦後のイギリス/ピータールーの惨劇/何たる虚偽
27 
その五
眼をドイツに一転せよ/ビスマルク公/ゲルマンの統一/無用の戦争/プロイセンという一物/中世時代の理想/普仏戦争/愛国的ブランデー/柔術家と力士/現ドイツ皇帝/近世社会主義/哲学的国民
34 
その六
日本の皇帝/故後藤伯/日清戦争/獣力の卓越/砂礫を混入した缶詰/日本の軍人/我が皇上のため/孝子的娼婦/軍人と従軍記者/眼中に国民なし/愛国心発揚の結果
42 
その七
愛国心とはかくのごときもの/人類の進歩と言える所以/進歩の大道/文明の正義と人道
48 
第三章 軍国主義を論ず
53 
その一
軍国主義の勢力/軍備拡張の原因/五月人形、三月雛/モルトケ将軍/野蛮人の社会学/小モルトケの輩出
53 
その二
マハン大佐/軍備と徴兵の功徳/戦争と疾病/権力衰微と紀綱弛緩/革命思想の伝播者/疾病の発生/徴兵制と戦争の数/戦争減少の理由
56 
その三
戦争と文芸/ヨーロッパ諸国の文芸、学術/日本の文芸/武器の改良/軍人の政治的資質/アレクサンドル、ハンニバル、カエサル/義経、正成、幸村/項羽と諸葛亮/フリードリッヒ大王とナポレオン/ワシントン/アメリカの政治家/グラントとリンカーン/ネルソンとウェリントン/山県、樺山、高島/軍人の智者、賢者
63 
その四
軍国主義の弊毒/古代文明/アテナイとスパルタ/ペロポネソス戦後の腐敗/トゥキディデスの大史筆/ローマに見よ/ドレフェスの大疑獄/ゾラ、決然として起つ/堂々たる軍人と市井の一文士/キッチナー将軍/ロシア軍の暴虐/トルコの政治/ドイツ、近代道徳の源泉/麟鳳は荊棘に棲息せず/ドイツ皇帝と不敬罪
74 
その五
決闘と戦争/狡知の較べ合い/戦争発達の順路/愛すべき田舎の壮丁/餓鬼道の苦/軍備を誇揚するのは止めよ
85 
その六
なぜいつまでも挑み合うのか/平和会議の決議/わずかに一歩のみ/猛獣、毒蛇の地
90 
第四章 帝国主義を論ず
95 
その一
野獣、餌の肉を求む/領土の拡張/大帝国の建設は切取り強盗なり/武力的帝国の興亡/零落は国旗に続く
95 
その二
国民の膨張か/少数の軍人、政治家、資本家/トランスバールの征討/驚くべき犠牲/数万人の鮮血の価、十億万円/ドイツの政策/ドイツ社会党の決議/アメリカの帝国主義/フィリピンの併呑/独立の檄文と建国の憲法はどうなる/アメリカの危機/アメリカ興隆の原因/民主党の決議
99 
その三
移民の必要/人口増加と貧民/貧民増加の原因/イギリス移民の統計/移民と領土/大なる謬見
108 
その四
新市場の必要/暗黒時代の経済/生産の過剰/今日の経済問題/社会主義的制度の確立/破産のみ、堕落のみ/遊牧的経済/イギリスとドイツの貿易/得意先の殺戮/日本の経済/その愚、及ぶべからず
113 
その五
イギリス植民地の統合/不利と危険/小国イギリス当時の武力/イギリス繁栄の原因/大英帝国の存続は時間の問題/キップリングとヘンリ/帝国主義は猟師の生計
119 
その六
帝国主義の現在と将来/国民の尊栄と幸福/ドイツは大国となり、ドイツ人は小人となる/一時の泡沫/日本の帝国主義/その結果
124 
第五章 結論
新天地の経営/二十世紀の危険/ペストの流行/愛国的病菌/大清潔法、大革命/黒闇々の地獄
129 
解説
133 

幸徳秋水 [こうとく しゅうすい]
1871〜1911 高知県生まれ。本名伝次郎。
最初期の社会主義者。中江兆民の門に入り、ジャーナリストとして『自由新聞』を皮切りに『万朝報』『平民新聞』等で健筆をふるう。明治天皇暗殺を計画したとされる1910年の大逆事件で検挙され翌11年刑死。本書の他『社会主義神髄』『兆民先生』『基督抹殺論』等著作多数。
 
遠藤利國 [えんどう としくに]
1950年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。翻訳家、國學院大學講師。
訳書に、J. キーガン『戦略の歴史』(心交社)、C. ヒバート『メディチ家の盛衰』〈上・下巻〉、R. マーシャル『図説 モンゴル帝国の戦い』、V. D. ハンセン『図説 古代ギリシアの戦い』、A. ゴールズワーシー『図説 古代ローマの戦い』(以上、東洋書林)など多数。
著書に『明治廿五年九月のほととぎす*子規見参』(未知谷)がある。


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現代語訳 帝国主義
幸徳秋水 著
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