未知谷の刊行物【国内文学】



 
みちのくの詩学
坂口昌明 著
四六判上製288頁 2,500円(税別)
ISBN978-4-89642-196-5 C0095



巨大な埋蔵文化財たる方言と
個人芸術とを再統合循環させた
〈方言詩〉の懐かしい音声は
人の肌を震わせ腑に落ちて行く
抽象概念を文字に現わし
眼と脳を介してのみ理解
することに慣れた我々
故郷喪失者にとってこれは
憧れるべきことかも知れない

 
……………
生まれ育ちも住まいも東北ではない著者の側の個人的事情をいえば、ここに収めた文章を折にふれ執筆し発表するだけで三十年を要した。遠い北国の人々のことばを聞きとれるようになろうとずいぶん旅して歩いたのも、ふだんは耳にできない日本語の音楽性に魅了されたからだと思う。無意識な発話のはしばしにいたるまで情感をしみわたらせる、みちのくびとの抑揚そのものを、得難い宝とも恩恵ともしながら著者は歳月だけを驀進してきた。
……………
地方ということ、混乱期ということ、モードの盛衰ということ、すべてが彼らの仕事にとってはなはだしく不利に、もっといえば不公平にはたらいてきた。それを一度でも振りかえること、鎮魂することは、果して回顧的・趣味的と非難されるべきだろうか。忘恩は未来どころか今日さえもあやふやにすると著者は信じる。
……………                        (緒言より)


目  次

 読者に

I 詩人群像  戦前から現代まで

 みちのくの詩人たち
  日幌草太/木村助男/隅江三郎/植木曜介/竹内二郎/北島一夫
10 
 続みちのくの詩人たち
  青島保/佐藤孝一/石黒英一/今尚志/安利麻愼/小笠原茂介
51 
 工藤正廣氏のアヴァンギャルド方言詩
  ――『なつかしい終わりと始まり』を読む
  標題/構成/結語
96 
II 北奥詩の吟味
115 
 宮澤清六氏の朗読法をめぐって
116 
 津軽方言詩縁起
  発端/「檸檬」から「まるめろ」へ/津軽方言詩論争/『ねぷた』と第二次方言詩論争
120 
 三つのオレンジへの恋
  福士幸次郎の場合/一戸謙三の場合/斎藤吉彦の場合
161 
 『追憶帖』礼讃
182 
 幻想の秩序
  ――一戸謙三詩における日本的シュルレアリスム
197 
 一戸謙三の詩学
  ――『日本音數律論』余話
  音数律論とは/津軽方言詩集『ねぷた』/四行定形詩〈聯〉の誘惑
209 
III 解体する自然 流竄と郷愁と
235 
 和泉幸一郎のためのパスティシュ
236 
 海の抛物線――村次郎
245 
 あとがき
277 

坂口昌明 [さかぐち まさあき]
1933年6月、東京都に生まれる。大田区雪ヶ谷に育ち、戦中・戦後に長野県で疎開生活を送る。57年から65年にかけ詩誌《山の樹》同人。
著書は詩集『旅する椅子』(思潮社、1965年)、評論『一詩人の追求――小山正孝氏の場合』(假山荘、1987年)、『モーツァルトの現在』(岩波書店、1991年、共著)他。

小社刊の坂口昌明の著作物
[月光に花ひらく吹上の 坂口昌明詩集]


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坂口昌明 著
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