未知谷の刊行物【国内文学】



 
片歌紀行 今に生きる建部綾足
工藤正廣 著
四六判160頁 1,600円(税別)
ISBN4-89642-142-6 C0095



木は蝉にもたれかゝりて夕日かな
1739年、建部綾足21歳の発句
タケベアヤタリ、これはもう
現代のアヴァンギャルドではないか!!
 
五十余年の生涯を漂泊の旅に晒し
日本近世文芸の世界を
俳諧師、歌詠、国学者、画家、
紀行作家、伝奇小説家と
ボーダーレスに走り抜けた異才。
津軽出身の建部綾足の足蹟を
同郷の詩人がたどる
紀行エッセイ五十章
片歌抄(35句)併載


目  次

第一章 あによめ・恋
  1 笠ほどな庵と思へ初しぐれ
  2 雨ふればひるもぞねむるねぶのはな
  3 ちよとしも君がむすびし菊ぞさきたる
  4 仏達燕とならば春近し
  5 目の前に夢語らせて胡蝶哉
  6 おそ桜ほとけやをしみ給ふなる
  7 としのうちに桜うゑよとはるのあめ
  8 夢に来た翁とつれて枯野哉
  9 遠山にして人恋しうす霞
  10 塵こぼす雀の巣にも涙かな
  11 うづみ火にうづくみをれば浪の音きこゆ
  12 よしあしの岸やはなれて蓮の花
  13 黄泉ならば西に入日にむかひて行かむ
  14 いと苦し艸のみおふる夏の山路は
  15 よぶこ鳥よべどもけふはあづま路に行く

第二章 流刑地、川駅のある町で
  16 岸べゆく舟より見れば松の影早し
  17 夏山にひなのこゑする何の鳥そも
  18 葛の葉をおさへてゐたり蝸牛
  19 昼顔や酒場のあとの色にさく
  20 日のあしの海へとゞかぬ尾花かな
  21 舟に寝よ夜はみじかしと鶏の声
  22 旅にして何しかやまらんこゝにいのらば
  23 何処へ立旅ぞほとけの七歩
45 
第三章 永久漂泊
  24 ふき残る寒さとらへてちどり哉
  25 伏せてある鍋は昼なり山桜
  26 旅人の別れはありて麦の秋
  27 木は蝉にもたれかゝりて夕日かな
  28 雅地はこれ難行の中にあり
  29 たてゝ猶冬の音あり門の松
  30 行ちがふ鳥はもどりや水の上
  31 あられふりてならの葉さやぐ伐て焼なも
  32 菊の花秋や寒しとかさねつる
  33 ゑり入て石尚寒し菊の花
65 
第四章 ボンデントビカラ、アイヌのモチーフ
  34 雪の日は寒くこそあれ鉢たゝき
  35 雪ふりてかれるおくてのかりほさぶしも
  36 いくかへり花にあへりし仏なるらむ
  37 つがるのゝ岩木の山のいはひづら
        またいはひ来む此山みちを
  38 雪ふればこねれが下にうぐひすの
        うらぶれをらむ春待がてに
  39 子どもらにことゝひすれば此岡に
        若菜つむとふことゝひすれば
  40 真さか木のまさかを神に我はいのらむ
  41 ひとりたつ日は細道か翌日の秋
  42 ことさへぐ唐にも行かむ道は此うみ
  43 すがすがしくおはせいそぎてかくなむ
  44 今すらも人すまぬ野に神さりし
        その夜らいかにかなしかりけむ
93 
第五章 片歌のこころを
  45 蜂のゐて草ふかゆりを折らず来けり
  46 山ふかくなりゆくまゝにほとゝぎす
  47 つばくらのふるくそおとすにひくはのうへ
  48 なづきだをなづさひゆけばなみだしながる
  49 道はしも唯一道ぞなほにかへらせ
  50 植おきしがみな夏草となりにける
127 
「片歌」抄
143 
あとがき
153 

建部綾足 [たけべ あやたり]
1719―74(享保4〜安永3)江戸中期の国学者・俳人・画家・読本作者・紀行作家・伝奇小説家。凉袋、寒葉斎ほか雅号多し。津軽藩家老の次男だが出奔し、志田野坡に俳諧を学び、賀茂真淵に入門。各地に遊歴漂泊し、長崎で画を学び、片歌を提唱した。紀行『笈の若葉』『秩父巡礼独案内記』読本『西山物語』伝奇小説『本朝水滸伝』など。
『建部綾足全集』全九巻(国書刊行会)がある。
 
工藤正廣 [くどう まさひろ]
1943年青森県黒石生まれ。
北海道大学卒。現在同大学教授。
ロシア文学者・詩人。
著書に『パステルナーク 詩人の夏』『ドクトル・ジバゴ論攷』『ロシア/詩的言語の未来を読む』『新サハリン紀行』『TSUGARU』『ロシアの恋』等があり、訳書にパステルナーク詩集『初期』『バリエール越え』『わが妹人生』『早朝列車で』『晴れよう時』、フレーブニコフの物語詩『シャーマンとヴィーナス』、チェーホフの短篇『中二階のある家』等多数がある。

小社刊の工藤正廣の著作物
[TSUGARU (つがる)――物語の声・文体論レッスン――]
[ロシアの恋]
[永遠と軛 ボリース・パステルナーク評伝詩集]
[アリョーシャ年代記 春の夕べ]
[いのちの谷間 アリョーシャ年代記2]
[雲のかたみに アリョーシャ年代記3]
[郷愁 みちのくの西行]
[西行抄 恣撰評釈72首]
[チェーホフの山]
[〈降誕祭の星〉作戦 ジヴァゴ周遊の旅]
[1187年の西行 旅の終わりに]
[ポーランディア 最後の夏に]
[没落と愛 2023 РАЗОРЕНИЕ И ЛЮБОВЬ 2023г.]
 
小社刊の工藤正廣関連の著作物
[シャーマンとヴィーナス]
[中二階のある家 ある画家の物語]
[蒼ざめた馬 漆黒の馬]
[夕べ ヴェーチェル]
[機械と狼]
[ユリウシュ・スウォヴァツキ詩抄]
[]
 
小社刊の工藤正廣関連の著作物 [パステルナーク詩集]
[わが妹人生 1917年夏]
[初期 1912―1914 あるいは処女詩集から]
[バリエール越え 1914―1916]
[晴れよう時 1956―1959]
[早朝列車で 1936―1944]
[第二誕生 1930―1931]
[主題と変奏 1916―1922]
[リュヴェルスの少女時代]
[物語]
[パステルナーク全抒情詩集]
[ドクトル・ジヴァゴ]


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片歌紀行 今に生きる建部綾足
工藤正廣 著
1,600円(税別)

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