未知谷の刊行物【海外文学】



 
晴れよう時  1956―1959
ボリース・パステルナーク 著 / 工藤正廣 訳・解説
四六判192頁 2,000円(税別)
ISBN4-89642-096-9 C0098



雨つづきの日々が終はりに近づき
雲間に空の青さが現れだす頃
決壊箇所の晴れ間は何といふ華やぎ
草地は何と祝祭気分に満ちてゐることか
 
別荘地で隠遁者のように暮らす晩年の詩人は
身近な自然や天候、移ろいゆく心境を静かにうたう
どの一篇一篇もみな失われていく〈時〉の墓碑銘であった

森に日が射し込む
光線が塵の柱になつて立つてゐる
ここからヘラジカが
道の分岐点へ出て来るといふ
 
この森の中の沈黙と静けさ
これは密閉繁茂した低地の生命が
日の光ではなく
まつたく別の理由で惑わされたかのやうだ
 
事実 近くの茂みに
雌のヘラジカが立つてゐるではないか
木々は彼女を前にし茫然と立ちすくんでゐる
道理で森の中がこんなにも静かなわけだ
 
ヘラジカは森の下草を食べ
かりかり新芽を齧つてゐる
彼女の背に触れ
どんぐりが枝でゆれてゐる
 
さんしきすみれ おとぎりそう
かみつれ やなぎらん あざみの花
みんな魔法にかかり
灌木を遠巻きにして見惚れてゐる
 
森中でただ一つ
よく響く谷間の小川だけが
ときにはひつそり ときにはさらに音たかく
このまたとない出来事について繰り返し語りつづける
 
森の谷間ぜんたいに鳴り響かせ
伐採区に触れ回りながら小川は
ほとんど人間のことばで
何事かを物語りたがつてゐる
 
「静けさ」より


目  次

〈すべてにおいてわたしは至りつきたい〉 8/〈有名であることは醜い〉 12/たましひ 15/イヴ 18/呼び名なく 21/転換 24/森の春 27/七月 29/茸とり 32/静けさ 35/干草の山 38/菩提樹の並木道 41/晴れよう時 44/穀物 47/秋の森 50/初霜 53/夜の風 55/黄金秋 57/悪天候 60/草と石と 62/夜 66/風 70/道 78/病院で 81/音楽 86/中断のあとで 90/初雪 93/雪が降る 95/雪の上の足跡 99/吹雪のあとで 101/バッカス祭 104/まがり角の向かふ 124/すべてが的中した 127/耕された畑 130/旅行 132/幼年時代の女たち 136/雷雨のあと 139/冬の祝祭の日々 141/ノーベル賞 145/神のつくりなす世界 148/またとない日々 151
 
解説・エッセー「詩人への手紙」
155 
訳者付記
170 
詩人年譜(抄)1945〜1960
173 
〈 〉付きのタイトルは原書では無題

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晴れよう時 1956―1959
ボリース・パステルナーク 著
2,000円(税別)

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